養護老人ホ-ムでの顔認証システムトライを経て

認知症患者やその家族を支援することを目的とした、ICTなどの新技術を使った製品(もしくは試作品)の合同トライアルをNPO法人きもつき情報化推進センターが主体となって11月から12月にかけて、実施しました。

地域の住民やコミュニティ、肝付町、NPOが合同で製品を試し、問題点や改善点をみようという試みで、肝付町からの委託事業「共創のまち・肝付」環境構築業務の取り組みの一環です。

この合同トライアルに応募した企業のひとつが、NECソリューションイノベータ株式会社です。

同社がトライアルに使用したのは、顔認証システム。防犯や店舗の客層分析などにも使われています。このシステムを利用して介護施設の利用者の徘徊を防止しようというのが、今回の試みです。

出入り口に設置したカメラがシステムに登録した人物(顔画像)を検知すると、スマホにアラート通知するという仕組みになっています。

今回は、肝付町養護老人ホーム国見園に11月24日から12月7日まで設置されました。

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期間中の主な設置場所は建物内部の出入り口付近。使用機材や照明等の問題で、設置場所の変更もしました。

試用を通して、職員は「夜勤のときや利用者の行動パターンに変化があったときなど、なかなか施設職員が利用者へ目を行き届かせるのは難しいです。また、人口減少にともなって、人手不足になるだろうという問題もでてきます。そうした部分をカバーしてくれるのではないかと思います」と見守りツールのひとつとしての活用に期待をしていました。

問題点としては、マスクや帽子が違うことで認証しないなどの誤認のほかには、「施設内では自由に過ごしてもらいたいので、施設の敷地内から外に出るところにも設置したい」「施設職員も年齢層が高く、スマホに慣れていないため使い方に戸惑う面もある」といったことを感じたそうです。

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このトライアル期間中、テレワーク(遠隔勤務)の形態をとって肝付町に滞在し、システム導入から現場を何度も訪れたのが同社の九州支社の中園智貴さんです。

現場のニーズを吸い上げて製品開発をしていくことを目的に昨年6月に立ち上げられた「地方創生事業推進グループ」に所属しています。

「滞在することで、現場の声をきく時間が増えました。また、天候、時間による環境の違いを感じることができ、高齢者は前かがみの姿勢になることも多いため、顔を補足できないという点にも気付かされました」と話す中園さん。時間の限られた出張と違い、現場に何度も足を運ぶことで見えてくることがあるといいます。

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「状況によっては手をはなせず、スマホを手に取ることのできない職員に知らせるアラートの方法を考えないといけないと思いました。スマホのほかにも、柔軟に対応していけるシステムにする必要があります」

また、現場で何度も顔を合わせることで、互いに本音で話やすくなるのも、滞在型の利点だと感じたそうです。

 

今回のように長期的に会社を離れていても仕事に支障はないものなのか尋ねてみたところ、「Wi-Fi環境が整っているので問題ないです」とのこと。

社用パソコンは、データを本体ではなく、インターネットを通じて保存するようになっており、また、パソコンも軽くて持ち運びしやすく、Wi-Fi環境さえあれば、どこでも仕事ができるようにテレワーク環境が整えられているそうです。

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今回の合同トライアルでは、

開発する側は現場が「近くなる」ことで、より現場のニーズに合った製品が開発できる。

現場で働く人々は別視点で問題点の整理や解決方法を考えることができる。

そうしたことをあらためて実感できたのではないでしょうか。