ICT利用の次世代型徘徊者捜索トライアルを振り返る

【経 緯】
平成22年度、肝付町と肝付町社会福祉協議会が、認知症になっても安心して住めるまちづくりを目指して、徘徊模擬訓練を始めて今回で7回目になる。
実施に携わる人たちは、住民・行政・民間事業所の有志の皆さんでつくる「寄って結って会」のメンバ-が中心となっている。
これまで認知症の病気の理解を深めることと顔の見える関係性をつくるために実施してきたが、今年3名の徘徊による行方不明者があり、うち1名は死亡発見、1名は不明のままという事態が起こってしまったことで、今までの捜索方法を見直す必要があると皆の意識に変化が生じた。
今回、ICTを取り入れた徘徊者捜索のトライアルは、そんな活動をしてきた人たちの思いがあって実現したものだった。
参考:認知症を学んで安心のまちづくり (出典:きもつき情報局)

【トライアル】
トライアル実施は、2016年12月1日(木)、15時から17時の予定で行われた。
今回のトライアルに賛同して、試作品を提供していただいたのは、次の二つの会社だった。

当日の天候は午前中晴れていたが、実施時間の15時前から雲が広がりはじめ、雨が心配される空模様だった。
14時から、本部を設置する新富地区公民館に関係者が集まり始め、最終チェックが行われた。
徘徊者役は5名で、送信機を持ち(内2名は、二つの会社の送信機を持った)、あらかじめ設定された徘徊エリアへ、それぞれ15時前から順次出発していった。
トライアルは、下図の茶色で囲った1~5までのエリアで行われた。

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捜索が始まって二人目まで発見された時点で、通信機器に障害が発生し、残り3名を残してトライアルは中断になった。

【振り返り】
その日、携わった関係者一同が新富地区公民館に再び集まり、振り返りを行い、全員が意見を述べ、課題を共有した。

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その一部は次のとおりであった。

  • すごい器械だと思った。
  • 徘徊者になって歩いていて、人とほとんど会わなかった。歩いている人がいない。
  • スマホを見て歩くと歩きスマホになって、危ないかもと思った。
  • 課題はあったが、取り組みは意義がある。
  • 器械があるから見つけてくれるという安心感あり、将来的には導入したほうがいいと感じた。
  • 実際に使ってみると改善点が見えた。
  • 今までの活動にITを活かすといいものになる気がする。
  • 製品化の課題が見えた。
  • 世代を超えての協力が大事で、このスタンスが大事。
  • 器械が動かないときは人海戦になる。探している人が途中で情報を返して、情報を共有していくような仕組みを考える必要がある。

【報告会】
2016年12月10日(土)、新富地区公民館でトライアルに参加できなかった人と製品を提供された会社のエンジニアを含めての報告会があった。
休日にもかかわらず、約30人が集まった。

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会は、トライアルを経て今後をどうしていくかについて意見交換が行われ、トライ方法を改善して2017年3月頃に再度トライする方向で動くことになった。

【人口減少時代に向けて】
2050年の日本の人口形態を持つといわれている肝付町では、高齢者や子供たちを支える人が少なくなっている。よく言われる人材不足に陥っている。
支える人とは、働く人、言い換えればお金を稼ぐ人・介護をする人・田畑を耕す人・魚を取る人・山の木を切る人たちなど、つまり産業を支える人たちが少なくなってきている。
この傾向は、このままだともっと進んでいく。

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出典:統計メモ帳

それ故、多職種連携による共創コミュニティを形成し、かつ、ICT利活用を進めることにより、共創コミュニティの輪を町内外へ広げ、それぞれの分野の基盤強化をしていくことが大切になってくる。
肝付町での今回のトライは、エンジニアと現場で動く人たちが意見交換できて、よりよい製品として暮らしや仕事の中に溶け込んでいくきっかけになればと期待したい。